ゆだん大敵
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 20 (1945) 年 | 講談雑誌 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | ゆだん大敵 |
時 と 所
江戸時代 長岡城下
主な人物
- 亀頭 図書(ずしょ) 類のない偏屈人で、「おれには尋常な御奉公はできないから」と、若いときから城の内外の草取りを役目に乞いほかにはどんな役にも就かなかった 家禄は二百石余りだったが、どういうわけか常に貧窮しているとの噂(うわさ)
- 老田 久之助 郷田権之助の三男、七歳のとき 老之助のちの牧野忠辰(ただとき)のお相手に御殿へ上る 幼名の一字を与えられ老田と名のるよう下命されるほどに寵愛される 学問でも武芸でも群をぬくし、挙措(きょそ)は慇懃(いんぎん)で謙虚だし、二十一二のころまでの数年間は一藩の嘱望と好意が久之助ひとりに集まったようだった ・・・
Memo
「一身一命を捧げると口では易く云う」
図書はちからのある声で云った、
「・・・ 御しゅくんのため、藩国のためにはいつなんどきでも死ぬ覚悟だ、口では誰もそう云うが、家常茶飯、事実のうえでその覚悟を活かすことはむずかしい。 昨夜そこもとは身命を上に捧げたといった、その言葉に嘘はないだろう、覚悟もたしかなものに違いない。 だが実際にはその覚悟を活かしていなかった、・・・ 他人に指摘されて、急いで始末をしなければならぬような物を、身のまわりに溜めて置いた、死後に発見されては身の恥になるような物さえ始末もせず、ただ覚悟だけいつ死んでもよいと決めたとこれでから念仏にすぎない、そうではないか」
『ゆだん大敵』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134284 |
タイトル |
山本周五郎 『四日のあやめ』 文庫本 | 収録作品 |
ゆだん大敵 契りきぬ はたし状 貧窮問答 初夜 四日のあやめ 古今集巻之五 燕(つばくろ) 榎(えのき)物語 |
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四日のあやめ (新潮文庫)
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