追いついた夢
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 25 (1950) 年 | 面白倶楽部 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 追いついた夢 |
時 と 所
江戸時代 江戸市中
主な人物
- おけい 年は十七 植木職をしていた父の七造が去年亡くなり、母親のおたみはもう三年越し寝ついたきりで、激痛をともなったさしこみの発作を鎮められる頓服は禁制の輸入品で高価な薬だった
- 宇之吉 二十一、おけいとは同じ長屋の路次うち 亡くなった父の源次は子飼いからの「植芳」の植木職人で、長男の宇之吉の下に子供が五人もあり、また底抜けの酒のみだったため貧乏に追われ、宇之吉は十一二の年から父と一緒に「植芳」へ手伝いに出ていた
- 和助 「どんな商売をしているの」 「それがわからないの、お店は大阪とこっちと両方にあるって云うし、かなり大きくやっているらしいんだけれど、そのお店がどこにあってどんな商売をしているんだか、尾花屋のおかみさんも知らないらしいのよ」
Memo
「泣いちゃあいけねえ、いま泣くんじゃあねえおけいちゃん」 宇之吉は歯をくいしばった声で云った、「泣くのはもっとさきのことだ、いつかそういう日がきて、二人が晴れて一緒になれたらだ、・・・ それまでは泣くのはよそう、おれも強くなる、精いっぱい稼ぐ、そして何年でも待っているぜ、いいなおけいちゃん」
『追いついた夢』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
小学館 | 4096772011 |
タイトル |
山本周五郎中短篇秀作選集 1 『待つ』 単行本 | 収録作品 |
内蔵允留守(くらのすけるす) 柘榴(ざくろ) 山茶花帖(さざんかちょう) 柳橋物語(やなぎばしものがたり) つばくろ 追いついた夢 ぼろと釵(かんざし) 女は同じ物語 裏の木戸はあいている こんち午(うま)の日 ひとでなし |
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待つ (山本周五郎中短篇秀作選集 1)
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