地蔵
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 36 (1961) 年 | 別冊文藝春秋 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 地蔵 |
時 と 所
平安時代 京の都
主な人物
- 五百夜の濃萱(いおよのこすけ) 洛中洛外にかくれもねえ女宰領
- 脛黒(すねぐろ) 濃萱の手下、越のくに松生というところのおん百姓で三年と八十二日めえに年貢を持ってこの京へ来て、年貢は納めたもののくにへ帰れないでいる
- 手白(てじろ) 濃萱の手下、脛黒と同じ身の上、年貢は納めたがくにへは帰れない、七年と十二日
Memo
「あれがこうで、これがああで」 と脛黒は呟(つぶや)き、片手で顎(あご)を掴(つか)んだ、「あの手はうめえ、錫杖を入れる穴がぴったりだ、しかし待て、まあ待て、おらあどうもこの仕事には気乗りがしねえ、ま、もうちっと考えてみよう」
手白は草の上へ腰をおろした。 脛黒は地蔵の顔を覗きこみ、像の頭や肩や手などから、松やその他の落葉を払いおとし、輪にしている右手の穴へ指を入れてみたりした。
「よかんべ、やってくれよう」 とやがて脛黒が云った、「日が昏(く)れたら担ぎだすべや」
そして手白の脇へ腰をおろした。
『地蔵』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134208 |
タイトル |
山本周五郎 『ひとごろし』 文庫本 | 収録作品 |
壷(つぼ) 暴風雨(あらし)の中 雪と泥 鵜(う) 女は同じ物語 しゅるしゅる 裏の木戸はあいている 地蔵 改訂御定法(ごじょうほう) ひとごろし |
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ひとごろし (新潮文庫)
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