むかしも今も
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 24 (1949) 年 | 講談雑誌 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | むかしも今も |
時 と 所
江戸時代 江戸市中
主な人物
- 直吉 ごく幼いころ両親に死なれ、五人の子がある貧乏ぐらしの叔父に育てられたが、気性の強い叔母にのそのそしているといってはよく折檻(せっかん)された 九歳の年に名の知れた指物師「紀六」の店へ住込んだが、ここでも職人たちの悪口(あっこう)にながいこと悩まされた 「ぐず」だの「のろま」だのと呼ばれ、どなられ打たれたりしながらも、親方六兵衛の劬(いた)わりや主婦のお幸に励まされて仕事を覚えていった
- まき 長いあいだ子が無かった親方夫婦のひとり娘 お幸が幼い直吉を哀れがり赤児の子守り役を云いつけてくれたので、まきは七八つになっても直吉につきまとってはなれなかった
- 清次 直吉が十七歳になったときに「紀六」へ弟子入りして来た、山手(やまのて)では指折りの古い「河松」という料理屋の三男、そのとき十五歳 食費雑用なども親元から届けていたらしく初めからほかの弟子とは扱いが違っていた
Memo
「でもまあちゃんだけは違うんだよ、まあちゃんだけはそんなことはない、まあちゃんは病気にも貧乏にもならないし、死にもしない、親方やおかみさんが附いてるし、直も附いているからね、本当だよ、── まあちゃんだけは、一生しあわせに暮せるんだよ」
せいぜい四つか五つくらいのまきが、片手で実のついた枯草をむしりながら、せつないような表情で聞きいっている。 どこやらしかつめらしくいたいけなその恰好を、ずっと後になってからも彼はありありと思いだすことができた。
『むかしも今も』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
小学館 | 4096772046 |
タイトル |
山本周五郎中短篇秀作選集 4 『結ぶ』 単行本 | 収録作品 |
初蕾(はつつぼみ) むかしも今も おれの女房 寒橋(さむさばし) 夕靄(ゆうもや)の中 秋の駕籠 凌霄花(のうぜんかずら) 四日のあやめ かあちゃん 並木河岸 おさん 「ひとごろし」 |
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結ぶ (山本周五郎中短篇秀作選集 4)
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出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134048 |
タイトル |
山本周五郎 『柳橋物語・むかしも今も』 文庫本 | 収録作品 |
柳橋物語 むかしも今も |
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柳橋物語・むかしも今も (新潮文庫)
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