落ち梅記
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 24 (1949) 年 | 講談倶楽部 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 落ち梅記 |
時 と 所
江戸時代 某城下・江戸城下
主な人物
- 沢渡 金之助(さわたり) 次席家老のまま側用人を兼ねる沢渡助左衛門の一子 九歳から十三歳まで五年間半三郎とともに藩主の世子(せいし)の学友に選ばれて、江戸邸で起居を共にした
- 佐竹 由利江 沢渡家とおなじ家老格 八千七百石筆頭年寄役佐竹千五郎の娘 助左衛門と千五郎とは極めて昵懇(じっこん)のあいだがらで、家族も古くから往来していた
- 公郷 半三郎(くごう) 六千八百石の寄合(一時は次席家老を勤めた)公郷四郎兵衛の子 金之助とは幼い頃から兄弟のように親しく往来した 二人は藩校での成績もよく「双俊」などといわれれ、半三郎は二十歳のときから藩校の助教を勤めていたが教官の嫉視からその職を逐(お)われる
Memo
ではと云って由利江が立とうとしたとき、庭のほうでばさっとなにかの落ちる音がした。 二人は同時に振返った、── 金之助は音のしたあたりを見やった。 牡丹畑の向うに枝をひろげた梅の樹がある。 その繁った葉がくれに、かなり大きくなった実の生(な)っているのが見えた。
「梅の実が落ちたんですね」
金之助は呟くように云った。 由利江は息をひそめるように、ひっそりと、暫くそのあたりを見やっていた。
『落ち梅記』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134307 |
タイトル |
山本周五郎 『町奉行日記』 文庫本 | 収録作品 |
土佐の国柱 晩秋 金五十両 落ち梅記 寒橋(さむさばし) わたくしです物語 修業綺譚(きだん) 法師川八景 町奉行日記 霜柱 |
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町奉行日記 (新潮文庫)
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出版社 | ISBN |
新潮社 | 4106440326 |
タイトル |
山本周五郎テーマコレクション 『無償(むしょう)』 単行本 | 収録作品 |
落ち梅記 雨あがる 夕靄(ゆうもや)の中 ほたる放生(ほうじょう) 裏の木戸はあいている 深川安楽亭 あすなろう |
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無償 (山本周五郎テーマ・コレクション)
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