山女魚
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 24 (1949) 年 | 講談雑誌 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 山女魚(やまめ) |
時 と 所
江戸時代 江戸城下・某城下
主な人物
- 平松 春樹 平松はもともと筆頭中老のいえがらで、野口家と七年交代でその職を勤めてきたが、病弱のため交代を延ばしていた 去年の十一月に太田税所(さいしょ)のむすめしず江と結婚した
- 平松 丈之助 春樹の弟 藤島仲斎という老職の下で藩史編纂の取締補役をしていたが、兄の死の知らせが届き、国許に帰って家督をつぐことに
Memo
絶え間なく水は流れていた。 かなりつよい流れの脈にゆられて、薄青く染まったような川底の石が、ゆらゆらと動くように透けてみえる。 丈之助はそれをみつめているうちに、ふとひとつの遠い出来ごとを思いだした。 それは彼が十二歳 兄が十四歳の年の初秋のことだ、もう肌さむい風が吹きはじめていたが、兄と彼は二人きりで水浴びにいった。 去ってしまう夏へのなごりという気持だったろうか、水は冷たかった、暫(しばら)く遊んでいるうちに兄がやまめを掴もうと云いだした。 兄はそれまで見ているだけで、いちどもやったことがなかった。
『山女魚』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134192 |
タイトル |
山本周五郎 『つゆのひぬま』 文庫本 | 収録作品 |
武家草鞋(ぶけわらじ) おしゃべり物語 山女魚 妹の縁談 大納言狐(だいなごんぎつね) 水たたき 凍(い)てのあと つゆのひぬま 陽気な客 |
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つゆのひぬま (新潮文庫)
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