夫婦の朝
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 16 (1941) 年 | 婦人倶楽部 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 夫婦の朝 |
時 と 所
江戸時代 江戸城下
主な人物
- 加納 三右衛門 二十八歳、江戸詰の留守役筆頭 その名は佐竹家でも名誉の家柄で、食禄こそ五百石足らずであるが年寄りの格式をもっていた
- お由美 二十三歳、三右衛門に嫁して来て足掛け三年、苦労を知らぬ明るい気質で眉を顰(しか)めること一度なかったお由美であるが、身持ちがおさまらぬため十九歳のときに勘当され行衛(ゆくえ)が知れぬ弟半之助がいた
Memo
「よく申し聞かせましたら、もう二度と御迷惑は掛けませぬ、必ず立派な人間になってお伺い致しますと、泣きながら申して居りました」
「よかた、よかった」
「半之助が真人間になれば故郷でも心配の種が無くなるというものだ。 それとなく義父上(ちちうえ)にお知らせ申すがいいな」
「はい ・・・」
お由美はどきっとした様子だったが、
「でもまだ、なんだか知らせるには早いように存じますけれど」
「直ぐでなくともいいさ」
三右衛門は妻の様子に気付かなかった。
『夫婦の朝』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134345 |
タイトル |
山本周五郎 『扇野(おうぎの)』 文庫本 | 収録作品 |
夫婦の朝 合歓木(ねむ)の蔭(かげ) おれの女房 めおと蝶 つばくろ 扇野 三十ふり袖 滝口 超過勤務 |
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扇野 (新潮文庫)
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