山本 周五郎
桑の木物語
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山本周五郎 短編作品
発表年 発表誌
昭和 24 (1949) 年 キング
著者名 作品名
山本周五郎 桑の木物語

時 と 所

江戸時代  江戸城下

主な人物

Memo

「うまいねえ、こんなうまい物は初めてだ、これなんの実なの」
「桑の実さ、こいつを喰べると口ん中じゅう紫色になるんだ。 ほら見てみな、ね」
「本当だ、若のもなってるかね」
 二人は互いに口や舌を見せあい、おはぐろを付けたようだと笑いあった。
 九月に上屋敷へ帰ると、若君は庭師に命じて桑を二本植えさせた。 庭師はそんなものはお屋敷の庭へ植えるものではないと云い、なかなか承知しなかったが、若君がどうしてもきかないので、それでは内緒ですからと云って、日月亭の裏のところへ二本植えた。
「こっちは若、こっちはおまえのにしよう」
 若君は悠二郎にこう囁(ささや)いた。
「これから毎年二本ずつ植えるよ、そうしてたくさんなったら、家中の者みんなに食わせてやるのさ、みんなうまいのでびっくりするよ」
 明くる年も下屋敷をさかんにぬけ出した。
                       『桑の木物語』文中より

収録本

出版社 ISBN
新潮社  新潮文庫 978-4101134277
タイトル
山本周五郎  『あとのない仮名』  文庫本
収録作品
討九郎馳走(とうくろうちそう)  義経(よしつね)の女(むすめ)  主計(かずえ)は忙しい  桑の木物語  竹柏記(ちくはくき)  妻の中の女  しづやしづ  あとのない仮名

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