暴風雨の中
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 27 (1952) 年 | 週刊朝日増刊号 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 暴風雨(あらし)の中 |
時 と 所
江戸時代 江戸市中
主な人物
- 三之助 佃島の漁師政吉の二男、両国橋の船宿「船辰」の船頭 ぐれて十五の年に勘当され人別もぬかれ、喧嘩と賭博で十七八のときにはもう佃の三之助ととおり名が付いていた
- 三十五六の小柄な男 烈風と豪雨が荒れ狂い、隅田川も氾濫しなお強い勢いで増水する中を、三之助だけが逃げずにいた船七の隠居所の二階に舟で漕ぎつけて来た
- おしげ 千住大橋脇の船宿「船七」の看板娘
Memo
「そのとおりだ、おめえの云うとおりだぜ、親方」
「てめえおれを笑うのか」 男は辱しめられでもしたように嚇(かっ)となった、「さんざっぱら世間に迷惑をかけて、女を幾人も泣かして、しまいにゃあ人をあやめさえしながら、てめえは自分が悪かったとは思っちゃあいねえんだろう」
「善いとも思っちゃいねえよ」
「自分が悪いとはこれっぽっちも思っちゃあいねえんだろう」
「善いとも思っちゃあいねえさ、本当だぜ親方」 三之助は云った、「おれが仁兵衛をやったのは善いことたあ思わねえ、悪いことかもしれねえ、そいつはなんとも云えねえが、おらあやらずにはいられなかった」
「なんとも云えねえって」
『暴風雨の中』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134208 |
タイトル |
山本周五郎 『ひとごろし』 文庫本 | 収録作品 |
壷(つぼ) 暴風雨の中 雪と泥 鵜(う) 女は同じ物語 しゅるしゅる 裏の木戸はあいている 地蔵 改訂御定法(ごじょうほう) ひとごろし |
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ひとごろし (新潮文庫)
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