思い違い物語
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 25 (1950) 年 | 労働文化 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 思い違い物語 |
時 と 所
江戸時代 某城下
主な人物
- 山治 右衛門(やまじ) 九百二十石の中老で年寄役を兼ねる 江戸で長門守知宣の小姓にあげられていた典木兄弟泰助泰三を寄宿させた 妻みね女とのあいだに二人の娘がいる
- 典木 泰三(のりき) 泰助の弟で年は二十三歳、父は斎宮(いつき)といって江戸家老を十二年も勤続したが不始末があり切腹した 食禄千二百石の千石は削られたが家名もつぶれることなく妻子は沼田老職にお預けですみ、先殿長門守知幸からほかにも内密なはからいがあったとか
Memo
かれらとしては身の安泰を護るためだろうが、その諜議はしんけんな様相を呈してきた。 自分たちがどちらかといえば不正な利得をしている関係から、ふだん内心ではそくばく気が咎めないとはいいえない。 精神組織が多少とも正常であるなら、幾分かは良心の囁きも聞く筈である。 が、一旦そこに摘発される危険が生じたばあい、その心理は猛然として自己主張に変貌する。
── かかる些細な事を取り上げるとはなにごとであるか、世間にはもっと大々的な憎むべき悪事が多々あるではないか、にも拘らずわれら如き小事件を追及するとは卑劣である。 かかる不正は断じて排斥しなければならない。
『思い違い物語』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134369 |
タイトル |
山本周五郎 『あんちゃん』 文庫本 | 収録作品 |
いさましい話 菊千代抄 思い違い物語 七日七夜 凌霄花(のうぜんかずら) あんちゃん ひとでなし 藪落(やぶおと)し |
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あんちゃん (新潮文庫)
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