扇野
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 29 (1954) 年 | 面白倶楽部 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 扇野(おうぎの) |
時 と 所
江戸時代 鳥羽城下
主な人物
- 三宅 栄三郎 絵師、三十二歳 けちな旗本の三男で、学問所へゆくとみせては横井宗渓という絵師に通い十六の年から八年ばかり教えを受けた 五百石小普請組の父数右衛門からは家の物を持ち出し勘当されるが、ひいきの角屋金右衛門が面倒をみてくれることに
- おけい 志摩のくに鳥羽港で廻船と海産物の問屋を営む角屋金右衛門の娘
- おつる おけいはまじめな顔で、「加茂川の町尻に、新水というお茶屋がありますわ、そこは父がひいきにしている家(うち)ですから、そこへいらしって、そうね、おつるという芸妓(げいしゃ)をお呼びになるとよろしいわ」
Memo
襖絵の主題は金右衛門の註文で、「武蔵野の冬」ということになり、栄三郎にも気にいった図柄だったので、五月の中旬には下絵が出来あがった。 けれども、そこで、四五日まをおいて見ると、なにかしら足りないものがある、── 人影のない枯野、というのが彼の覘(ねら)いで、動くものは野茨の枝の鶫(つぐみ)一羽だけであった。 一(ひ)と棟の家も入れてはならないし、まして人物などは絶対に入れてはならないのであった。
── ではなにが足りないのか、なにをそこへ描き加えたらいいのか。
『扇野』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
小学館 | 4096772054 |
タイトル |
山本周五郎中短篇秀作選集 5 『発つ』 単行本 | 収録作品 |
野分(のわき) 契りきぬ はたし状 雨あがる よじょう 四人噺(よにんばや)し 扇野 三十ふり袖 鵜(う) 水たたき 将監(しょうげん)さまの細みち 枡落(ますおと)し |
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発つ (山本周五郎中短篇秀作選集 5)
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出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134345 |
タイトル |
山本周五郎 『扇野(おうぎの)』 文庫本 | 収録作品 |
夫婦の朝 合歓木(ねむ)の蔭(かげ) おれの女房 めおと蝶 つばくろ 扇野 三十ふり袖 滝口 超過勤務 |
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扇野 (新潮文庫)
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