饒舌り過ぎる
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 37 (1962) 年 | オール讀物 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 饒舌(しゃべ)り過ぎる |
時 と 所
江戸時代 伊勢国長島城下
主な人物
- 土田 正三郎 四百石あまりの中老土田正兵衛の一子、奉行職記録所の頭取心得
- 小野 十太夫(じゅうだゆう) 近習頭で百三十石、剣術道場師範 正三郎ととしは同じで隣り同志だから絶えず往き来をしていたが、一度も口論をしたことがないとか
Memo
「おれはみの公が欲しい」と十太夫がまじめに云った、「けれども土田を押しのけてまで、自分のものにしようとは思わない」
「あなたは」とおみのは土田を見た。
土田はからの杯をじっとみつめていた。 十太夫とおみのはそのようすを眺めながら、やや暫く待っていた。
「おい ── 」 と十太夫が云った、「おまえ饒舌り過ぎるぞ、土田」
土田正三郎は十太夫を見て、てれたように頭を下げ「うん」と口の中で声を出した。 それまで饒舌り続けていたが、注意をされて口をつぐんだ、というふうにみえた。
『饒舌り過ぎる』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134147 |
タイトル |
山本周五郎 『おさん』 文庫本 | 収録作品 |
青竹 夕霞(ゆうもや)の中 みずぐるま 葦(あし)は見ていた 夜の辛夷(こぶし) 並木河岸(なみきがし) その木戸を通って おさん 偸盗(ちゅうとう) 饒舌り過ぎる |
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おさん (新潮文庫)
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出版社 | ISBN |
新潮社 | 4106440334 |
タイトル |
山本周五郎テーマコレクション 『歳月(さいげつ)』 単行本 | 収録作品 |
藪落(やぶおと)し 葦は見ていた 橋の下 落葉の隣り 燕(つばくろ) 榎(えのき)物語 饒舌り過ぎる |
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歳月 (山本周五郎テーマ・コレクション)
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