蜜柑
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 16 (1941) 年 | キング |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 蜜柑(みかん) |
時 と 所
江戸時代 江戸城下・紀州和歌山城下
主な人物
- 安藤帯刀直次(たてわきなおつぐ) 慶長十五年に、家康から選ばれてその第十子長福丸のちの頼宣(よりのぶ)の家老に 以来二十六年、よく主君を補佐して紀伊五十五万石の礎をかためた人物
- 大高 源四郎 中小姓、少年の頃から頼宣の側近につかえていた
Memo
── これがおいえのために生涯を捧げつくした人の姿だ。 八十二年というとしつき、ただ君家の礎となって身命をなげうって来た人の姿だ。
そう思うと、日頃の反抗心などはなくなって、溢(あふ)れ出ようとする泪(なみだ)を抑えるだけが源四郎には精いっぱいであった。
「御用のひまを欠かせて相すまぬ」
直次は韻の枯れてしまった声で、けれども力のある調子で云った。
「このたびは、わしもいよいよおいとまだと思う。 ・・・ ことしの蜜柑はたべるつもりでいたが、もういかぬ」
「それで ・・・」
低く息をつぎながら直次はつづけた。
「生前そのもとに、ひとこと申し遺(のこ)したいことがあって来てもらった」
『蜜柑』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134246 |
タイトル |
山本周五郎 『深川安楽亭』 文庫本 | 収録作品 |
内蔵允(くらのすけ)留守 蜜柑 おかよ 水の下の石 上野介正信(こうずけのすけ まさのぶ) 真説吝嗇記(りんしょくき) 百足ちがい 四人囃(よにんばや)し 深川安楽亭 あすなろう 十八条乙 枡落(ますおと)し |
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深川安楽亭 (新潮文庫)
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