醜聞
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 39 (1964) 年 | 小説新潮 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 醜聞 |
時 と 所
江戸時代 某城下
主な人物
- 功刀 功兵衛(くぬぎ こうべえ) 三十二三歳、金穀出納元締役で百五十五石十人扶持
「雪がこなければ座敷には火を入れない、年がら年じゅう一汁一菜、起きるから寝るまで袴(はかま)もぬがず、膝(ひざ)も崩さない、── こんなことは功刀の家風でもあり、よそにも例のないことじゃないでしょう ・・・ 」 - ふじ 二十三歳、功兵衛に嫁してきて二百日そこそこ
「いまは丈夫な子をうむことが、おまえのたった一つの仕事だ、わがままを云っていいんだよ」 - こもをかぶった老乞食(こじき)
「そのほういま私の名を呼んだようだな」 「また、いつも私だけに袖乞いをするそうだが、いったいそのほうはなに者なんだ」
Memo
あらゆる好みが人によってみな違う、それはそのとおりだ、妻の色香におぼれる者もあるし、家政を任せる便宜な存在とみる者、単に習慣のためと考える者もある。
どれが正しく人間らしいかはわからない。
罵(ののし)り憎みあいながら一生ともにくらす夫婦もあり、まるっきり反対な性分だったのに、やがてだらしのないほど仲がよくなり、むつまじく折り合ってゆく夫婦もある。
その一つ一つにはまた、幾百千とも知れない変化があるだろうし、それらは人間のちから以上の、なにかの力に支配されているのではないか。
『醜聞』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134239 |
タイトル |
山本周五郎 『松風の門』 文庫本 | 収録作品 |
松風の門 鼓(つづみ)くらべ 狐(きつね) 評釈堪忍記 失恋第五番 湯治 ぼろと釵(かんざし) 砦山(とりでやま)の十七日 夜の蝶(ちょう) 釣忍(つりしのぶ) 月夜の眺(なが)め 薊(あざみ) 醜聞 |
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松風の門 (新潮文庫)
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出版社 | ISBN |
新潮社 | 4106440407 |
タイトル |
山本周五郎テーマコレクション 『晩年(ばんねん)』 単行本 | 収録作品 |
滝口 醜聞 ひとごろし へちまの木 あとのない仮名 |
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晩年 (山本周五郎テーマ・コレクション)
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