あだこ
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 33 (1958) 年 | 小説倶楽部 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | あだこ |
時 と 所
江戸時代 江戸城下
主な人物
- 小林 半三郎 祖父の代までは百石あまりの小普請にすぎなかった小林の家を、三年前に亡くなった父半兵衛は二百二十石の書院番にまで仕上げた 半兵衛はまた、八百石の上役金森主善の娘みすずと半三郎との婚約までまとめていた
- あだこ 「あたしそう云ったんです、小林さまのお屋敷へこんど来たあだこですって、── わだば、あたしこのお屋敷で、使って頂くつもりでしたから」
Memo
「おまえ誰だ」 と半三郎が訊(き)いた。
相手には聞えなかったらしい。 それとも聞えたが答えたくなかったものか、もっとはっきり頬笑(ほほえ)んで、枯草のほうへ手を振った。
「二日もあればきれいになります」 と彼女は云った、「このくらいなもの、わがやればなんでもごいへおん」
そしてまた枯草を抜きはじめた。
どこから来たなに者だ、どうするつもりだ。 半三郎はそう訊きたかったが、面倒でもあり気力もなかったので、また眼をつむってしまった。
『あだこ』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
小学館 | 4096772038 |
タイトル |
山本周五郎中短篇秀作選集 3 『想う』 単行本 | 収録作品 |
壷 松の花 春三たび 薮(やぶ)の蔭(かげ) おもかげ 萱笠(すげがさ) 墨丸 風鈴 彩虹(にじ) 七日七夜(なのかななよ) ほたる放生(ほうじょう) ちいさこべ あだこ ちゃん その木戸を通って |
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想う (山本周五郎中短篇秀作選集 3)
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出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134154 |
タイトル |
山本周五郎 『おごそかな渇き』 文庫本 | 収録作品 |
蕭々(しょうしょう)十三年 紅梅月毛(つきげ) 野分(のわき) 雨あがる かあちゃん 将監(しょうげん)さまの細みち 鶴(つる)は帰りぬ あだこ もののけ おごそかな渇き |
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おごそかな渇き (新潮文庫)
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