妻の中の女
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 30 (1955) 年 | 小説倶楽部 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 妻の中の女 |
時 と 所
江戸時代 某城下
主な人物
- 信夫 杏所(しのぶ きょうしょ) 五十八歳、江戸家老 信夫家は代々の城代家老で杏所も八年まえまで勤めた 「並びなき威勢」と、底抜けの「わがまま」と、絶えまなしの「遊蕩」で知られ、結婚は四十三歳になってようやく
- 初世 三十歳のときに杏所と再婚、「── 十七歳で嫁ぎまして、半年そこそこで良人は病死しましたが、わたくしは身籠っておりました」
- 若杉 泰二郎(たいじろう) 二十七歳、勘定奉行 年寄役肝入大村直人の娘しほの十九歳と婚約ができている
Memo
「なぜだ、よそでは子を産んだのに、どうしておれとの仲には、一人の子も」と云いかけて彼は絶句し、口をあけて妻を見つめた、
「── 初世、・・・まさか、まさかいちども、いちどもそれが」
初世は手をふり放し、袂で顔を隠しながら、逃げるようにその座敷から出ていった。
「このばか者」と杏所は自分に云った、
「この放埓(ほうらつ)な、情け知らずの盲人の、たわけ者、
・・・ これで眼がさめたか」
『妻の中の女』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134277 |
タイトル |
山本周五郎 『あとのない仮名』 文庫本 | 収録作品 |
討九郎馳走(とうくろうちそう) 義経(よしつね)の女(むすめ) 主計(かずえ)は忙しい 桑の木物語 竹柏記(ちくはくき) 妻の中の女 しづやしづ あとのない仮名 |
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あとのない仮名 (新潮文庫)
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出版社 | ISBN |
新潮社 | 4106440342 |
タイトル |
山本周五郎テーマコレクション 『夫婦(ふうふ)』 単行本 | 収録作品 |
おれの女房 寒橋(さむさばし) 四日のあやめ 妻の中の女 水たたき 並木河岸(なみきがし) 古今集巻之五 |
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夫婦 (山本周五郎テーマ・コレクション)
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