愚鈍物語
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 18 (1943) 年 | 講談雑誌 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 愚鈍物語 |
時 と 所
江戸時代 越前国福井城下
主な人物
- 平山 三之丞 平山三左衛門の一子 伯父の加治鶴所は亡くなった三左衛門から嫁をとるとき渡してくれと二百両を預かったが、三之丞はなんのかのとせびっては埒もなく他人に借り取られていた
- 加治 主水(もんど) 鶴所老人の長男 まだ二十七歳だったが二年越しやってもまだ埒があかない九頭竜川普請場支配に任ぜられ、松丘村の役小屋に詰めて工事の監督に当っていた
- 黒板 猪七郎 主水とおなじ格式をもって人事の支配役をつとめていたが、三之丞から借りた金で普請がうまくゆかず気をくさらせている若いれんじゅうを酒色にさそい風儀を崩していた
Memo
猪七郎は苦痛でひき歪む顔をあげ、ほとんど嘆賞するように三之丞をみた。
「それが、きさまにできるというのか」
「できるさ」 かれはしずかに答えた。 「おれは愚鈍な生まれつきだ。 けれど愚鈍にはまた愚鈍で取得がある。 『愚の努むるは、堪能の足らざるより善し』 というじゃないか。 おれは何事でも、ゆっくりと念をいれてやるのが好きだよ」
『愚鈍物語』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134437 |
タイトル |
山本周五郎 『花匂う』 文庫本 | 収録作品 |
宗太兄弟の悲劇 秋風不帰 矢押(やのし)の桶(とい) 愚鈍物語 明暗嫁問答 椿説(ちんせつ)女嫌い 花匂う 蘭(らん) 渡(わたる)の求婚 出来ていた青 酒・盃(さかずき)・徳利 |
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花匂う (新潮文庫)
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