評釈堪忍記
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 22 (1947) 年 | 新読物 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 評釈堪忍記 |
時 と 所
江戸時代 某城下
主な人物
- 駒田 紋太夫 念願の隠居の許しが下って夫婦だけで山の別宅へ移る 甥(おい)の千蔵に嫌われ役を宛(あて)がい短気を封じ、いずれ庄司が中老の席に直るべく修行をさせる
- 庄司 千蔵 選ばれて母方の遠縁に当る庄司の家名を継いで再興することになり、また国許の三十人組の組がしらに任ぜられ江戸から来た
Memo
「要するに」 八回めになって、いなり山の別宅まで意見拝聴に出張した千蔵は、もうこの辺で解放されたくなってこう云った、
「要するに喧嘩をしたり人を殴ったりしなければいいのですね」
「それだけではない、ひとを尊敬し、ひとの意見を重んじ、寛厚に付合い、過ちを恕(ゆる)し、常に堪忍袋の緒を緊めて、──」
「わかりました、きっとうまくやりますから安心して下さい」
「大丈夫だということが保障できるか」
「保障かどうかわかりませんが、今日で八回もお小言を聞きながら、いちども肚を立てなかったとしてみれば ──」
「申したな、よし、その言葉を忘れるなよ」
こう云って老人は止めを刺すようにぐっと睨んだ。
『評釈堪忍記』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134239 |
タイトル |
山本周五郎 『松風の門』 文庫本 | 収録作品 |
松風の門 鼓(つづみ)くらべ 狐(きつね) 評釈堪忍記 失恋第五番 湯治 ぼろと釵(かんざし) 砦山(とりでやま)の十七日 夜の蝶(ちょう) 釣忍(つりしのぶ) 月夜の眺(なが)め 薊(あざみ) 醜聞 |
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松風の門 (新潮文庫)
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