土佐の国柱
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 15 (1940) 年 | 読物文庫 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 土佐の国柱 |
時 と 所
江戸時代(慶長年間) 土佐国高知城下
主な人物
- 土佐守山内一豊 死に臨んで、「斧兵衛は我が家にとって、功労抜群の者である。 老年であるから我儘(わがまま)の振舞いもあろうと思うが、なにごとも差許してやるよう」 と遺言した
- 高閑 斧兵衛(こうが おのべえ) 千二百石の侍大将、一豊がまだ猪右衛門(いえもん)といった時代からの随身
- 池藤 小弥太 対馬守忠義の近習番 「・・・ まあ強いて申せば、拙者は近いうちに高閑どのの娘を妻に貰おうとおもっているのです」 「舅(しゅうと)になるべき人を斬る。 ・・・ これは同意できないのが人情でしょう。 では ・・・ 失礼」
Memo
「斧兵衛、其方は儂(わし)にとって半身同様の者じゃ。 ・・・ 追腹は無義無道のものゆえ、家中には厳しく禁ずるが、其方だけは格別だ。 ・・・ 冥途の供をしてくれ」
「お許し下さいまするか」
「許さぬと申しても、わしが死んで生残る其方ではあるまい。 追腹許す。 ・・・ なれど、直ぐにはならんぞ、三年待とう」
意外な言葉であった。
「三年とは、・・・ 如何なる御意にて」
「土産を頼みたい」
「 ・・・・・・ 」
「三年のあいだに土産を作って参れ、それまでは冥途で待つ。 一豊は成仏せずに、其方の追いつくのを待っておる。 ・・・ 分るか」
謎のように云う一豊の眼をひたと見上げた斧兵衛は、やがて、にっと微笑しながら、
「委細かしこまり奉る」
と答えて平伏した。
『土佐の国柱』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134307 |
タイトル |
山本周五郎 『町奉行日記』 文庫本 | 収録作品 |
土佐の国柱 晩秋 金五十両 落ち梅記 寒橋(さむさばし) わたくしです物語 修業綺譚(きだん) 法師川八景 町奉行日記 霜柱 |
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