夜の蝶
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 29 (1954) 年 | 家の光 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 夜の蝶(ちょう) |
時 と 所
江戸時代 江戸市中
主な人物
- 京伝のお幸 年は二十五六から三十一二のあいだ、京伝という麻問屋の娘
- 旅の者 年はもう三十六七、まわりを葭簀(よしず)で囲い「貝屋」という軒提灯をかかげた車屋台の主人とぽつぽつ話しながら、焼き蛤を肴にゆっくりと飲んでいた
- 酔いつぶれた老人 「もと京伝の店にいたんだそうです」「古くから荷方(にかた)をしていたそうですが、酒癖が悪いため追出されて、いまは娘の嫁入り先の世話になってるんですが」
「あれが」「あれが荷方の源さん」
Memo
「ほんとのことを云っていいか」
また酔いつぶれた老人がどなった。
「云ってやろうか、おい」 と老人は嗄(しゃが)れ声でどなった。 「おれがほんとのことを云ってやろうか、いいか云っても」
その声に驚いたように、行燈にとまっていた蝶がぱっと舞いたち、囲いの中をぐるぐると飛んで、葭簀の上にとまった。
『夜の蝶』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101134239 |
タイトル |
山本周五郎 『松風の門』 文庫本 | 収録作品 |
松風の門 鼓(つづみ)くらべ 狐(きつね) 評釈堪忍記 失恋第五番 湯治 ぼろと釵(かんざし) 砦山(とりでやま)の十七日 夜の蝶 釣忍(つりしのぶ) 月夜の眺(なが)め 薊(あざみ) 醜聞 |
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松風の門 (新潮文庫)
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