初蕾
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山本周五郎 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 22 (1947) 年 | 講談雑誌 |
著者名 | 作品名 |
山本周五郎 | 初蕾(はつつぼみ) |
時 と 所
江戸時代(宝暦年間) 志摩のくに鳥羽二見浦・西沢村
主な人物
- お民 奉公さきの小料理茶屋で客たちに「ふじむら小町」などと云われお座敷でも人気がある、十八歳 お民の世話をしようという鳥羽の廻船問屋「島喜」の隠居、島屋喜右衛門の案内で梶井半之助が「ふじむら」へ来た
- 梶井 半之助 鳥羽藩の港奉行良左衛門の一子 納戸役になって間もなく同僚のひとりと酒のうえではたしあいをし、斬ってそのままゆくえ知れずに
- 梶井夫妻 良左衛門は責を負って港奉行職を致仕(ちし)し、城下も立ち退き、召使も置かず、妻のはま女と二人で「島喜」の隠居所を借りてひっそりとつつましやかに暮している
- うめ 良左衛門から頼まれた喜右衛門が伴れて来た伊勢のくに松坂の者で、いちど嫁して子を生んだが婚家との折合いがわるく生れて五ヶ月の乳呑み児を置いて離婚したとか 年は十九
Memo
「さっきから赤児の声がするようだが」
「心づきませんでしたが、見てまいりましょう」
こんな時刻に来る者もなかろう、そう思いながら、手燭(てしょく)に火をうつして出てみた。 門(かど)ぐちには人のいるようすはなかったが、どこかで赤児のぐずり泣きの声が聞える、はま女は外に出て、手燭をあげながらあたりを見まわした、玄関をかこうように網代(あじろ)の袖垣がある、その垣の下に厚い布子袢纏(ぬのこばんてん)にくるんだ赤児と、かなり嵩張(かさば)った包とが置かれてあった。
『初蕾』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
小学館 | 4096772046 |
タイトル |
山本周五郎中短篇秀作選集 4 『結ぶ』 単行本 | 収録作品 |
初蕾 むかしも今も おれの女房 寒橋(さむさばし) 夕靄(ゆうもや)の中 秋の駕籠 凌霄花(のうぜんかずら) 四日のあやめ かあちゃん 並木河岸 おさん 「ひとごろし」 |
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結ぶ (山本周五郎中短篇秀作選集 4)
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