遠い別れ - 藤沢周平短編時代小説

藤沢周平

遠い別れ

藤沢周平　短編作品

発表年	発表誌
昭和５８（１９８３）年	月間カドカワ
著者名	作品名
藤沢周平	遠い別れ

時と所

江戸時代　　江戸市中

主な人物

新太郎　　老舗の糸問屋「鹿野（かの）屋」の主人　両親はすでに亡く、商売はだめになり、金貸しから借りた高利の金を返せず、十日後には家を取られようとしていた
おぬい　　真綿問屋「三ツ輪屋」の若女房、二十半（はたちなかば）をすぎたはず　新太郎の幼馴染み　孤児だったおぬいは、古手屋の叔父の家で養われていた
おこま　　新太郎のもとの女房　三月ほど前に、むりやりに去り状を取って、実家の油屋に帰った

Ｍｅｍｏ

　── しかし、それにしても・・・。
　借金の肩代わりなどという話を持ち出したのは、おぬいの行き過ぎだと新太郎は思った。　たとえおぬいの旦那が話のわかる男で、馬に喰わせるほど金を持っているとしても、出来る相談ではない。
　ひとには後もどり出来ない道というものがある。　その道をここまで来てしまったからには、おぬいに助けてもらうのは筋違いだ、と新太郎は思った。　たった八年と思ったが、その八年の間に、この女との間に途方もない距離がひらいてしまったのだ。　そのことに気づかないらしいおぬいが、新太郎には不思議に思われた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『遠い別れ』文中より

収録本

出版社	ISBN
新潮社　新潮文庫	978-4101247182

タイトル

藤沢周平　『龍を見た男』　文庫本

収録作品

帰って来た女　　おつぎ　　龍を見た男　　逃走　　弾む声　　女下駄　　遠い別れ　　失踪　　切腹

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出版社	ISBN
文藝春秋	978-4163642307

タイトル

藤沢周平全集　第三巻　単行本

収録作品

驟（はし）り雨　　遅いしあわせ　　泣かない女　　贈り物　　歳月　　ちきしょう！　　虹の空　　運の尽き　　おばさん　　亭主の仲間　　時雨（しぐれ）みち　　幼い声　　夜の道　　怠け者　　盗み喰い　　滴る汗　　追われる男　　おさんが呼ぶ　　禍福　　おとくの神　　失踪（しっそう）　　帰って来た女　　おつぎ　　逃走　　夜消える　　女下駄（おんなげた）　　遠い別れ　　鬼ごっこ　　冬の日　　寒い灯　　にがい再会　　永代橋　　踊る手　　消息　　初つばめ　　遠ざかる声

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