師弟剣
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藤沢周平 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 60 (1985) 年 | 小説現代 |
著者名 | 作品名 |
藤沢周平 | 師弟剣 諸岡一羽斎と弟子たち |
時 と 所
江戸時代 江戸崎城下・江戸城下
主な人物
- 諸岡 一羽斎(もろおか いっぱさい) 香取の飯篠長威斎(いいざさちょういさい)から伝わる天真正伝神道流と、鹿島の太刀の流れに神道流の精髄を取りこんで塚原卜伝(つかはらぼくでん)が新たに興(おこ)した新当(しんとう)流 この鹿島、香取の刀術の流れをきわめたうえで、諸岡一羽斎はべつに精妙、不可思議な剣を編み出した その剣を一羽流と名づけていた
- 弟子たち 土子泥之助(ひじこどろのすけ)ともう一人の、やはり高弟の一人に数えられる岩間小熊(いわまこぐま)は土地者だが、根岸兎角(ねぎしとかく)は一羽斎の剣名を慕って、下総(しもうさ)の方から利根川をわたって来た男だった
Memo
「弔いは、もう済んだことじゃ」
振りむいた小熊は、一度台所にいるおまんさまの気配を窺うように首をのばしてから言った。
「それよりも泥之助。 いよいよ時が来たぞや」
「おお、そのことだ」
泥之助も一瞬にして感傷から立ち直った。
「さて、あの男をどう始末してくれようか」
「いま、位牌を見ながら考えた」
小熊がささやくように声を落としたので、栗の実をゆでて煮え立っているいろりの鍋が、急に音高くぐつぐつと鳴った。
「病いに倒れたところを見捨てられ、つぎには一羽流の名を偽られて、師匠はやっぱり、兎角に怨みを残されたろうとな」
「怨みが残ったと?」
泥之助も仏壇を見た。 きらめく灯明の光に白木の位牌がひっそりと立っているのが見える。
「小熊、めったなことを言うなよ。 そうなればとても尋常のことでは済まされんぞ」
「おうさ、尋常のことでは済まなかっぺ」
『師弟剣』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
講談社 講談社文庫 | 978-4062753005 |
タイトル |
藤沢周平 『決闘の辻』 文庫本 | 収録作品 |
二天(にてん)の窟(あなぐら) 宮本武蔵 死闘 神子上典膳 夜明けの月影 柳生但馬守宗矩 師弟剣 諸岡一羽斎と弟子たち 飛ぶ猿 愛洲移香斎 |
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決闘の辻 (講談社文庫)
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出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163642604 |
タイトル |
藤沢周平全集 第六巻 単行本 | 収録作品 |
玄鳥 三月の鮠(はや) 闇討ち 浦島 鷦鷯(みそさざい) 又蔵(またぞう)の火 逆軍の旗 相模守は無害 二人の失踪人 上意改まる 幻にあらず 長門守の陰謀 振子の城 二天の窟 死闘 夜明けの月影 師弟剣 飛ぶ猿 |
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藤沢周平全集 第六巻
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