藤沢 周平
しぶとい連中
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藤沢周平 短編作品
発表年 発表誌
昭和 50 (1975) 年 小説宝石
著者名 作品名
藤沢周平 しぶとい連中

時 と 所

江戸時代  江戸市中

主な人物

Memo

「これであったけえ蕎麦(そば)でも喰ってよ、といっても、この時刻じゃ蕎麦屋はしまったか。 何か喰って、家がねえなら、どっか宿見つけて泊りな」
 熊蔵は背を向けて歩き出した。 身体を動かしたせいか、さっきよりよけい酔いが回った気がした。 とくとくと身体を走り回る血の音が聞える。
 橋の途中で振り向くと、母子がこっちを向いているのが見えた。
「あばよ」
 熊蔵は上機嫌で手を振った。 今日は帰りに寄った賭場(とば)で久しぶりに目が出て、懐はあたたかい。 途中で飲んだ酒はうまかったし、その上、人助けまでした。 上上吉の日だったと思う。 あとは兆(きざ)してきた眠気にさからわずに家までたどりつき、布団に潜りこめばいい。
                     『しぶとい連中』文中より

収録本

出版社 ISBN
文藝春秋  文春文庫 978-4167192419
タイトル
藤沢周平  『暁のひかり』  文庫本
収録作品
暁のひかり  馬五郎焼身  おふく  穴熊  しぶとい連中  冬の潮
Amazon  暁のひかり (文春文庫) 
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163628301
タイトル
藤沢周平短篇傑作選 3  『冬の潮』  単行本
収録作品
時雨のあと  冬の潮  しぶとい連中  秘密  意気地なし  暁のひかり  石を抱く  閉ざされた口  狂気  荒れ野  春の雪  遠い少女
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163642208
タイトル
藤沢周平全集 第二巻  単行本
収録作品
冬の潮(うしお)  意気地なし  秘密  しぶとい連中  石を抱く  暁のひかり  龍(りゅう)を見た男  夜の橋  拐(かどわか)し  神隠し  閉ざされた口  闇の穴  三年目  狂気  荒れ野  春の雪  遠い少女  昔の仲間  疫病神  裏切り  夕べの光  冬の足音  暗い渦  うしろ姿  告白  捨てた女  夜の雷雨  暗い鏡  人殺し  朝焼け
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