藤沢 周平
捨てた女
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藤沢周平 短編作品
発表年 発表誌
昭和 53 (1978) 年 小説宝石
著者名 作品名
藤沢周平 捨てた女

時 と 所

江戸時代  江戸市中

主な人物

Memo

 そののろさが、ふきが頭が悪いせいだということを、信助はふきをはじめてこの矢場で見かけた半月前に見抜いていた。 ほかの客にも、それはわかっているはずだった。 それなのに客は面白がってふきの臀を狙い、ふきはふきで、矢場の女主人に言いふくめられているのかその矢を避けもせずわざと鈍重な臀を客の前にさらすような身ぶりさえするのだ。
 信助は、ほかの客と一緒になって、ふきの臀に矢をあてる気にはなれなかった。 客にも腹が立ち、いいように矢をあてられてうろうろしているふきにも腹が立つ。 ただ腹が立つだけではなく、心の中に耐えがたいような気分が動く。
                     『捨てた女』文中より

収録本

出版社 ISBN
新潮社  新潮文庫 978-4101247113
タイトル
藤沢周平  『驟り雨(はしりあめ)』  文庫本
収録作品
贈り物  うしろ姿  ちきしょう!  驟り雨  人殺し  朝焼け  遅いしあわせ  運の尽き  捨てた女  泣かない女
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163642208
タイトル
藤沢周平全集 第二巻  単行本
収録作品
冬の潮(うしお)  意気地なし  秘密  しぶとい連中  石を抱く  暁のひかり  龍(りゅう)を見た男  夜の橋  拐(かどわか)し  神隠し  閉ざされた口  闇の穴  三年目  狂気  荒れ野  春の雪  遠い少女  昔の仲間  疫病神  裏切り  夕べの光  冬の足音  暗い渦  うしろ姿  告白  捨てた女  夜の雷雨  暗い鏡  人殺し  朝焼け
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