藤沢 周平
旅の誘い
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藤沢周平 短編作品
発表年 発表誌
昭和 49 (1974) 年 太陽
著者名 作品名
藤沢周平 旅の誘(いざな)い

時 と 所

江戸時代  江戸市中

主な人物

Memo

「売れていますよ」
 保永堂の顔は浅黒く、頬が殺(そ)げていて、藍微塵(あいみじん)の袷(あわせ)に三尺帯を締めた恰好は、版元という感じはなく、出職の職人のように見える。 眼つきも鋭く、それが薄い唇と一緒にどことなく油断ならない感じをあたえる。
 広重は黙って頭を下げた。 保永堂の浅黒い顔の下には、押えられた興奮が赤黒く沈んでいる。 そのひと言を暖めながら、道をいそいできたことがわかった。
 保永堂がその顔を見せたときから、広重はそのひと言を予感していたような気がした。 一部を刊行し、いまも背後にある机の上で描き継いでいる東海道五十三次が好評だと、保永堂は告げている。 だが広重の内部には、喜びというよりも安堵に似たゆるやかな心の動きがあるばかりだった。
                     『旅の誘い』文中より

収録本

出版社 ISBN
文藝春秋  文春文庫 978-4167192235
タイトル
藤沢周平  『花のあと』  文庫本
収録作品
鬼ごっこ  雪間草  寒い灯  疑惑  旅の誘い  冬の日  悪癖  花のあと
Amazon  花のあと (文春文庫) 
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163642109
タイトル
藤沢周平全集 第一巻  単行本
収録作品
溟(くら)い海  囮(おとり)  賽子無宿(さいころむしゅく)  黒い縄  帰郷  恐喝  夜が軋(きし)む  割れた月  闇の梯子  父(ちゃん)と呼べ  疑惑  密告  入墨  馬五郎焼身  旅の誘い  鬼  おふく  霜の朝  時雨(しぐれ)のあと  穴熊  冬の終りに
Amazon  藤沢周平全集 第一巻 

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