藤沢 周平
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藤沢周平 短編作品
発表年 発表誌
昭和 49 (1974) 年 週刊小説
著者名 作品名
藤沢周平

時 と 所

江戸時代  某藩の村

主な人物

Memo

 ── 綱が切れて流れて来たんだろうか。
 と思い、サチは恐る恐る蛇籠(じゃかご)をのぼって、舟の中を覗(のぞ)いた。 川舟の底に男が一人寝ている。
「わ、鬼だ」
 自分のことを棚に上げて、サチは小さく叫んだ。 胸が轟(とどろ)いた。 舟底に寝ている男は、異様な姿をしている。 髪が乱れて顔まで垂れ下がり、髪に隠れて、眼は見えない。 高い鼻、大きな唇が血の気を失って蒼(あお)ざめている。 頬と頸(くび)に血糊(ちのり)が乾いてこびりつき、右手には抜き身の刀を握っていた。 血は刀にもこびりついている。 袴をつけた武士だった。
                    『鬼』文中より

収録本

出版社 ISBN
新潮社  新潮文庫 978-4101247069
タイトル
藤沢周平  『神隠し』  文庫本
収録作品
拐(かどわか)し  昔の仲間  疫病神  告白  三年目  鬼  桃の木の下で  小鶴  暗い渦  夜の雷雨  神隠し
Amazon  神隠し (新潮文庫) 
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163642109
タイトル
藤沢周平全集 第一巻  単行本
収録作品
溟(くら)い海  囮(おとり)  賽子無宿(さいころむしゅく)  黒い縄  帰郷  恐喝  夜が軋(きし)む  割れた月  闇の梯子  父(ちゃん)と呼べ  疑惑  密告  入墨  馬五郎焼身  旅の誘(いざな)い  鬼  おふく  霜の朝  時雨(しぐれ)のあと  穴熊  冬の終りに
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