帰って来た女 - 藤沢周平短編時代小説

藤沢周平

帰って来た女

藤沢周平　短編作品

発表年	発表誌
昭和５７（１９８２）年	小説宝石
著者名	作品名
藤沢周平	帰って来た女

時と所

江戸時代　　江戸市中

主な人物

藤次郎　　職人五人を抱える錺（かざり）師、三十九歳　息子の庄太は、二年間奉公した履物屋からもどると、職人にまじって、一から仕事を習いはじめた
おきぬ　　藤次郎の妹、小三十になる　六年前、父親の六蔵が生きていたころ、半年いただけの渡り職人鶴助にたぶらかされ一緒に家を出て行った

Ｍｅｍｏ

「そうじゃねえよ。　さっきも言ったとおり、見るに見かねて・・・」
「待った」
　藤次郎はさえぎった。
「そこが気にいらねえのだ、おれは。　この家が親の家、兄の家と思ってだ。　おきぬが助けをもとめて来たというなら話は別だ。　そうじゃねえ限りは、ほっておく」
「あきれた不人情なひとだぜ」
　鶴助は吐き出すように言った。
「よけいなお世話だというわけだな。　わかったよ。　おれもとんだ無駄足を踏んだわけだ」
「・・・・・・」
「後悔しねえ方がいいぜ、親方」
　鶴助は脅すように言った。
「おきぬさんのぐあいはかなり悪いんだ。　手おくれになっても知らねえよ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『帰って来た女』文中より

収録本

出版社	ISBN
新潮社　新潮文庫	978-4101247182

タイトル

藤沢周平　『龍を見た男』　文庫本

収録作品

帰って来た女　　おつぎ　　龍を見た男　　逃走　　弾む声　　女下駄　　遠い別れ　　失踪　　切腹

≫ Ａｍａｚｏｎ 　龍を見た男　（新潮文庫）　へ

出版社	ISBN
文藝春秋	978-4163642307

タイトル

藤沢周平全集　第三巻　単行本

収録作品

驟（はし）り雨　　遅いしあわせ　　泣かない女　　贈り物　　歳月　　ちきしょう！　　虹の空　　運の尽き　　おばさん　　亭主の仲間　　時雨（しぐれ）みち　　幼い声　　夜の道　　怠け者　　盗み喰い　　滴る汗　　追われる男　　おさんが呼ぶ　　禍福　　おとくの神　　失踪（しっそう）　　帰って来た女　　おつぎ　　逃走　　夜消える　　女下駄（おんなげた）　　遠い別れ　　鬼ごっこ　　冬の日　　寒い灯　　にがい再会　　永代橋　　踊る手　　消息　　初つばめ　　遠ざかる声

≫ Ａｍａｚｏｎ 　藤沢周平全集　第三巻　へ