泣く母
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藤沢周平 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 54 (1979) 年 | 週刊小説 |
著者名 | 作品名 |
藤沢周平 | 泣く母 |
時 と 所
江戸時代 某城下
主な人物
- 伊庭 小四郎 十五歳、五十石を頂いて普請組小頭を勤めていた亡き父重助の一子 十九歳で小四郎を生んだ母美尾は、夫の四十九日の法事も済まぬうちにあわただしく実家にひき取られ、一年後他家に再嫁した
- 矢口 八之丞 三百石の番頭矢口主税(ちから)の一子、小四郎より二つ三つ年下に見えた 荒稽古で知られ、門弟も小四郎のような微禄の家の子弟が多い藤井道場に入門して来た
- おかつ 履物屋の家つき娘で、以前行儀見習いの女中として伊庭家で働いていた 家禄を半減され乳母をやとうゆとりのない伊庭の家の事情を知って、母に去られた小四郎を預かり、四つになるまで育ててくれた
Memo
「それで、今日は?」
「うむ。 道場の帰りだが、ちと聞きたいことがあって寄った」
小四郎がそう言ったとき、娘が甘酒をはこんで来た。 娘は自分も座りそうにしたが、店の方で人声がしたので、どうぞごゆっくりね、と小四郎に言い置いて立って行った。
「聞きたいことって、何でしょうね」
おかつが、甘酒をすすめながら、ゆっくりした太い声で言った。
「母のことだ」
小四郎がそう言うと、おかつは持っていた甘酒の椀を置いて、手を膝に重ね、じっと小四郎を見つめた。
「母が嫁いだ先の家だが、矢口とは言わなかったかな」
『泣く母』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
新潮社 新潮文庫 | 978-4101247175 |
タイトル |
藤沢周平 『霜の朝』 文庫本 | 収録作品 |
報復 泣く母 嚏(くしゃみ) 密告 おとくの神 虹の空 禍福 追われる男 怠け者 歳月 霜の朝 |
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霜の朝 (新潮文庫)
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出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163255804 |
タイトル |
海坂藩大全(うなさかはんたいぜん) 下 単行本 | 収録作品 |
梅薫る 泣くな、けい 泣く母 山桜 報復 切腹 花のあと -以登女(いとじょ)お物語- 鷦鷯(みそさざい) 岡安家の犬 静かな木 偉丈夫 |
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海坂藩大全 下
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出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163642505 |
タイトル |
藤沢周平全集 第五巻 単行本 | 収録作品 |
闇の顔 小川の辺(ほとり) 木綿触れ 夢ぞ見し 一夢の敗北 小鶴 梅薫る 孫十の逆襲 泣くな、けい 泣く母 飛べ、佐五郎 山桜 帰還せず 報復 弾む声 切腹 花のあと -以登女(いとじょ)お物語- 雪間草 悪癖 麦屋町昼下がり 三ノ丸広場下城どき 山姥橋夜五ツ 榎屋敷宵の春月 |
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藤沢周平全集 第五巻
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