藤沢 周平
飛ぶ猿
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藤沢周平 短編作品
発表年 発表誌
昭和 60 (1985) 年 小説現代
著者名 作品名
藤沢周平 飛ぶ猿 愛洲移香斎

時 と 所

戦国時代  日向国米良 ほか

主な人物

Memo

「おふくろの話によると、そいつは雲をつくような大男だったそうだ」
 と波四郎は言った。
 その男、愛洲太郎左衛門が来たとき、波四郎の父母は船小屋にいて、父親は櫂(かい)を削り、母親は魚網をつくろっていた。 波四郎の父親は磯浜の漁師だったが、若いころに鹿島の太刀を修行した高名な兵法者でもあった。 時どき旅の兵法者が名前を慕って来て立ち合いをもとめたが、父親はいつも機嫌よく相手をし、一度も負けたことがなかった。
 その日前触れもなく船小屋をおとずれて来た男も、兵法修行の者のようだった。 折柄海に落ちようとしている赤い夕日を背景に、船小屋の入口をふさいだ姿が、禍禍(まがまが)しいほどに大きかった。
 蓬髪(ほうはつ)の先が、後光を帯びたように光り、男は饐(す)えた旅の匂いを身につけていた。 片手で小屋の軒をつかんだまま、男が言った。
「おぬしが住吉か」
                     『飛ぶ猿』文中より

収録本

出版社 ISBN
講談社  講談社文庫 978-4062753005
タイトル
藤沢周平  『決闘の辻』  文庫本
収録作品
二天(にてん)の窟(あなぐら) 宮本武蔵  死闘 神子上典膳  夜明けの月影 柳生但馬守宗矩  師弟剣 諸岡一羽斎と弟子たち  飛ぶ猿 愛洲移香斎
Amazon  決闘の辻 (講談社文庫) 
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163642604
タイトル
藤沢周平全集 第六巻  単行本
収録作品
玄鳥  三月の鮠(はや)  闇討ち  浦島  鷦鷯(みそさざい)  又蔵(またぞう)の火  逆軍の旗  相模守は無害  二人の失踪人  上意改まる  幻にあらず  長門守の陰謀  振子の城  二天の窟  死闘  夜明けの月影  師弟剣  飛ぶ猿
Amazon  藤沢周平全集 第六巻 

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