寒い灯
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藤沢周平 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 60 (1985) 年 | 週刊小説 |
著者名 | 作品名 |
藤沢周平 | 寒い灯 |
時 と 所
江戸時代 江戸市中
主な人物
- おせん 料理茶屋「小松屋」で座敷女中をしている 見そめられて清太の嫁になったが、母親のおかつには料理屋の酌婦上がりと嫌われ、がみがみ浴びせられる小言や罵(ののし)りから逃げ出し、二年ちょっとでもとの古巣に戻って来た
- 清太 父親が亡くなり、跡を継いだ庖丁鍛冶(かじ)「かね政」は、急に火が消えたようになった 奉公人を知り合いの鍛冶仲間に引き取ってもらい、清太も手間取りの職人に 母親の看病に疲労困憊(こんぱい)して、家をとび出したおせんに、母親が風邪をひいたと看病を頼みに来た
- 喜三郎 三月ほど前から小松屋に通って来ている若い男 来ると必ずおせんを名指しで呼んで酌をさせる
Memo
── だめだねえ。
誰もいない河岸の道で、チョッと自嘲の舌を鳴らした。 すぐその気になるんだから、とおせんは自分を嘲(あざけ)った。
家の中をみがき上げ、病人には薬をもらって来て飯を炊いて喰わせ、申し分のない嫁の役を演じて、その役をまた自分が気にいっていい気分で帰って来たが、なあーに、喉もと過ぎれば熱さを忘れるさと、おせんはようやく永堀町に行く前の自分を取りもどしている。
また来てくれとか、このままもどってくれたらうれしいとかおかつは言ったが、なあに、いまは風邪で身体が弱っているからあんなことを言ってるだけ。 そうですかと鼻先にひとの好さをぶらさげてもどったりしたら、またぞろいびられるのが眼に見えてる、とおせんは思った。 冗談じゃない、いくらおひと好しでも二度と同じ手は喰うもんかとも思った。
『寒い灯』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
文藝春秋 文春文庫 | 978-4167192235 |
タイトル |
藤沢周平 『花のあと』 文庫本 | 収録作品 |
鬼ごっこ 雪間草 寒い灯 疑惑 旅の誘(いざな)い 冬の日 悪癖 花のあと |
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花のあと (文春文庫)
へ
出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163642307 |
タイトル |
藤沢周平全集 第三巻 単行本 | 収録作品 |
驟(はし)り雨 遅いしあわせ 泣かない女 贈り物 歳月 ちきしょう! 虹の空 運の尽き おばさん 亭主の仲間 時雨(しぐれ)みち 幼い声 夜の道 怠け者 盗み喰い 滴る汗 追われる男 おさんが呼ぶ 禍福 おとくの神 失踪(しっそう) 帰って来た女 おつぎ 逃走 夜消える 女下駄(おんなげた) 遠い別れ 鬼ごっこ 冬の日 寒い灯 にがい再会 永代橋 踊る手 消息 初つばめ 遠ざかる声 |
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藤沢周平全集 第三巻
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