藤沢 周平
木綿触れ
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藤沢周平 短編作品
発表年 発表誌
昭和 51 (1976) 年 問題小説
著者名 作品名
藤沢周平 木綿触れ

時 と 所

江戸時代  海坂城下

主な人物

Memo

 伝内の声は耳に入っているが、友助は別のことを考えていた。 今日の昼過ぎ、友助たち足軽組の者は、城中の庭先に集められて、そこで藩公の名で出された新しい触れを聞かされた。
 触れは、先に郷中に出された倹約令に続く、士分の者に対する倹約令で、祝儀、不祝儀の簡素化、家屋の造作の遠慮、正月五節句の行事の簡素化などを命じ、衣類についても「足軽中間は、布木綿のほか一切着すべからず。 襟(えり)、帯、袖へりなどにも絹物使うまじく、妻子同前のこと」 と言っていた。
 同じころ城中の大広間では、家中藩士が同様の言い渡しを受けていた。 伝内の話によれば、その中味は百石につき十俵の借上げを命じ、衣類は絹物の着用を許すというところが、友助たちに対する触れと違っていて、ほかは同じだということだった。 伝内は恰幅(かっぷく)がよく、五十近い年だが、いつも艶のいい赤ら顔をしていて、城中のことをよく知っていた。
                     『木綿触れ』文中より

収録本

出版社 ISBN
新潮社  新潮文庫 978-4101247144
タイトル
藤沢周平  『闇の穴』  文庫本
収録作品
木綿触れ  小川の辺  闇の穴  閉ざされた口  狂気  荒れ野  夜が軋む
Amazon  闇の穴 (新潮文庫) 
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163628103
タイトル
藤沢周平短篇傑作選 1  『臍曲(へそま)がり新左』  単行本
収録作品
紅の記憶  証拠人  臍曲がり新左  一顆の瓜  冤罪  竹光始末  遠方より来る  雪明かり  小川の辺  木綿触れ  夢ぞ見し
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163255705
タイトル
海坂藩大全(うなさかはんたいぜん) 上  単行本
収録作品
暗殺の年輪  相模守は無害  唆(そそのか)す  潮田伝五郎置文(うしおだでんごろうおきぶみ)  鬼気  竹光始末  遠方より来(きた)る  小川の辺(ほとり)  木綿触れ  小鶴
Amazon  海坂藩大全 上 
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163642505
タイトル
藤沢周平全集 第五巻  単行本
収録作品
闇の顔  小川の辺  木綿触れ  夢ぞ見し  一夢の敗北  小鶴  梅薫る  孫十の逆襲  泣くな、けい  泣く母  飛べ、佐五郎  山桜  帰還せず  報復  弾む声  切腹  花のあと -以登女(いとじょ)お物語-  雪間草  悪癖  麦屋町昼下がり  三ノ丸広場下城どき  山姥橋夜五ツ  榎屋敷宵の春月
Amazon  藤沢周平全集 第五巻 

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