入墨
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藤沢周平 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 49 (1974) 年 | 小説現代 |
著者名 | 作品名 |
藤沢周平 | 入墨 |
時 と 所
江戸時代 江戸市中
主な人物
- お島 屋台の煮売り屋から、「めし・酒」と書いた看板の飯屋を開くまでに漕ぎつけた、二十七歳
- おりつ 姉のお島と一緒に暮らし、店を手伝っている、十七歳 二つのときに、父親が姉を売った金を持って姿を晦(くら)ました
- 卯助 「あのひと、ほんとにお父っつぁんなの?」 「ああ、紛れもないバカ親爺さね」 「ほんと? 間違いない?」 「お前もバカな子だね。 どこの世界に自分の親を間違える人間がいるかよ」
Memo
眼の隅で人影が動いた。 卯助が立ち上ったところだった。 卯助は相変わらず七ッ過ぎになると、どこからともなく店の前にやって来て、木の下に立っている。 すると時刻を測っていたおりつが外に出て呼び入れるのだが、卯助の顔には何の表情も現われなかった。 皺の中に埋もれたような眼を伏せて、ゆっくり店に入り、そこが定められた席であるかのように、入口に一番近い飯台の端に座り、手をこすりながら、熱い銚子が運ばれてくるのを待つのである。 卯助が、そのようにして店の隅に座るようになってから、二十日ほど経っていた。
おりつは勝手に卯助を呼び入れ、勝手に酒を運んだが、お島は見て見ぬふりをする、という態度だった。
「一本だけだよ。 あのじじいに酒を飲ませる義理なんてものは、これっぽっちもないんだからね」
と釘をさしただけである。
『入墨』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
文藝春秋 文春文庫 | 978-4167192174 |
タイトル |
藤沢周平 『闇の梯子』 文庫本 | 収録作品 |
父(ちゃん)とよべ 闇の梯子 入墨 相模守は無害 紅の記憶 |
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闇の梯子 (文春文庫)
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出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163628202 |
タイトル |
藤沢周平短篇傑作選 2 『父と呼べ』 単行本 | 収録作品 |
賽子無宿 帰郷 恐喝 父と呼べ 闇の梯子 入墨 馬五郎焼身 おふく 穴熊 |
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父と呼べ (藤沢周平短篇傑作選 2)
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出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163642109 |
タイトル |
藤沢周平全集 第一巻 単行本 | 収録作品 |
溟(くら)い海 囮(おとり) 賽子無宿(さいころむしゅく) 黒い縄 帰郷 恐喝 夜が軋(きし)む 割れた月 闇の梯子 父と呼べ 疑惑 密告 入墨 馬五郎焼身 旅の誘(いざな)い 鬼 おふく 霜の朝 時雨(しぐれ)のあと 穴熊 冬の終りに |
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藤沢周平全集 第一巻
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