又蔵の火
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藤沢周平 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 48 (1973) 年 | 別冊文藝春秋 |
著者名 | 作品名 |
藤沢周平 | 又蔵(またぞう)の火 |
時 と 所
江戸時代(文化年間) 鶴ヶ岡城下 ほか
主な人物
- 土屋 万次郎 百五十石取りの荘内藩士土屋久右衛門久明の妾腹 放蕩の果てに座敷牢に入れられ、牢を破って逃げ、そのまま荘内藩を脱藩 二年後に領内に立ち戻ったところを捕えられ、城下に連行される途中、同族の土屋丑蔵久富と土屋三蔵記明と斬り合って亡くなる そのとき二十三歳
- 土屋 虎松 万次郎の弟、四ツちがい 兄の破牢を助け、二人で出奔した 倉尾又蔵という変名を使い、のちに又蔵と改名する 兄弟が生れる前に、久右衛門の夫婦養子となった才蔵は、娘の年衛を万次郎に娶(めあわ)せ土屋家の跡を継がそうとしたが、兄弟ともに脱藩したため、丑蔵を娘婿に迎えた
- 土屋 丑蔵 万次郎の甥、万次郎の姪年衛の婿 事件があったとき、三蔵と同年の二十六歳 その日の朝、同じ土屋の者として初めて万次郎と顔を合わせ、夕刻には斬り合った
Memo
「もともと万次郎も悪いのだ。 土屋の家では手に余ったろう。 俺の家で俺をもて余したようにな」
「解っております。 しかし殺さなくとも ── よいと存じます」
虎松は石田から視線をはずした。 底深いところから、隙をみて噴き上げて来ようとする乱れた感情があって、それをこらえようとすると唇が顫(ふる)えた。
「だがな、本当は殺してやりたいぐらいは思うものよ。 みんなきちんとして、それでもって世間体をつくろって生きている。 辛いことがあってもこらえてだ。 ところが一人だけ勝手なのがいて、思うまま、し放題のことをする。 世間に後指をさされまいと気張っている家の者のことなど、お構いなしだ。 これは殺したいほどのものだ。 世間体をつくろうのも限りがあってな。 そのうちくたびれてくる」
「 ・・・・・・ 」
「もっとも俺もそれに気づいたのは、遊びをやめてからだがな。 才蔵殿は器量人だから、よく我慢したと俺はみている」
「しかし、兄には兄の考えがあったと思いますが」
「バカ言え」
石田は力なく笑った。
『又蔵の火』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
文藝春秋 文春文庫 | 978-4167192402 |
タイトル |
藤沢周平 『又蔵の火』 文庫本 | 収録作品 |
又蔵(またぞう)の火 帰郷 賽子無宿(さいころむしゅく) 割れた月 恐喝 |
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又蔵の火 (文春文庫)
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出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163628400 |
タイトル |
藤沢周平短篇傑作選 4 『又蔵の火』 単行本 | 収録作品 |
又蔵の火 逆軍の旗 二人の失踪人 上意改まる 幻にあらず 長門守の陰謀 試行のたのしみ(エッセー) |
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又蔵の火 (藤沢周平短篇傑作選 4)
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出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163642604 |
タイトル |
藤沢周平全集 第六巻 単行本 | 収録作品 |
玄鳥 三月の鮠(はや) 闇討ち 浦島 鷦鷯(みそさざい) 又蔵の火 逆軍の旗 相模守は無害 二人の失踪人 上意改まる 幻にあらず 長門守の陰謀 振子の城 二天(にてん)の窟(あなぐら) 死闘 夜明けの月影 師弟剣 飛ぶ猿 |
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藤沢周平全集 第六巻
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