藤沢 周平
又蔵の火
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藤沢周平 短編作品
発表年 発表誌
昭和 48 (1973) 年 別冊文藝春秋
著者名 作品名
藤沢周平 又蔵(またぞう)の火

時 と 所

江戸時代(文化年間)  鶴ヶ岡城下 ほか

主な人物

Memo

「もともと万次郎も悪いのだ。 土屋の家では手に余ったろう。 俺の家で俺をもて余したようにな」
「解っております。 しかし殺さなくとも ── よいと存じます」
 虎松は石田から視線をはずした。 底深いところから、隙をみて噴き上げて来ようとする乱れた感情があって、それをこらえようとすると唇が顫(ふる)えた。
「だがな、本当は殺してやりたいぐらいは思うものよ。 みんなきちんとして、それでもって世間体をつくろって生きている。 辛いことがあってもこらえてだ。 ところが一人だけ勝手なのがいて、思うまま、し放題のことをする。 世間に後指をさされまいと気張っている家の者のことなど、お構いなしだ。 これは殺したいほどのものだ。 世間体をつくろうのも限りがあってな。 そのうちくたびれてくる」
「 ・・・・・・ 」
「もっとも俺もそれに気づいたのは、遊びをやめてからだがな。 才蔵殿は器量人だから、よく我慢したと俺はみている」
「しかし、兄には兄の考えがあったと思いますが」
「バカ言え」
 石田は力なく笑った。
                     『又蔵の火』文中より

収録本

出版社 ISBN
文藝春秋  文春文庫 978-4167192402
タイトル
藤沢周平  『又蔵の火』  文庫本
収録作品
又蔵(またぞう)の火  帰郷  賽子無宿(さいころむしゅく)  割れた月  恐喝
Amazon  又蔵の火 (文春文庫) 
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163628400
タイトル
藤沢周平短篇傑作選 4  『又蔵の火』  単行本
収録作品
又蔵の火  逆軍の旗  二人の失踪人  上意改まる  幻にあらず  長門守の陰謀  試行のたのしみ(エッセー)
出版社 ISBN
文藝春秋 978-4163642604
タイトル
藤沢周平全集 第六巻  単行本
収録作品
玄鳥  三月の鮠(はや)  闇討ち  浦島  鷦鷯(みそさざい)  又蔵の火  逆軍の旗  相模守は無害  二人の失踪人  上意改まる  幻にあらず  長門守の陰謀  振子の城  二天(にてん)の窟(あなぐら)  死闘  夜明けの月影  師弟剣  飛ぶ猿
Amazon  藤沢周平全集 第六巻 

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