振子の城
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藤沢周平 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 53 (1978) 年 | 歴史読本 |
著者名 | 作品名 |
藤沢周平 | 振子の城 |
時 と 所
江戸時代 駿府城下・山形城下 ほか
主な人物
- 最上出羽守義光(よしあき) 家康にあいに駿府まで行き、江戸城に将軍秀忠をたずね、最上五十七万石が、死後も安泰である確認をとりつける旅に出た そのとき義光、六十八歳 家康は、七十二歳
Memo
── だがこれで、最上家はまず安心だ。
白鳥十郎、駒姫、修理大夫義康。 さまざまな顔が通りすぎたあとに、ぽっかりと駿府の家康の顔がうかんだ。 これでよかったのだ。 後をつぐ者が義康であったら、家康はああいう親身な言い方はしまい。
長く、つねに不安な歳月だった、と思った。 風は右からも左からも吹いた。 その中で倒れないで最上家を保つためには、あちらにもつき、こちらにもついて、振子のように揺れながら平衡を保つしかなかったのだ。 だが、それも終った、と義光は思った。
最上家は家親を通じて、至高の権力者徳川としっかり結びついた。 次の藩主は、ほかならぬその家親なのだ。 もはや振子のように揺れる必要もない。
『振子の城』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163642604 |
タイトル |
藤沢周平全集 第六巻 単行本 | 収録作品 |
玄鳥 三月の鮠(はや) 闇討ち 浦島 鷦鷯(みそさざい) 又蔵(またぞう)の火 逆軍の旗 相模守は無害 二人の失踪人 上意改まる 幻にあらず 長門守の陰謀 振子の城 二天(にてん)の窟(あなぐら) 死闘 夜明けの月影 師弟剣 飛ぶ猿 |
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