逆軍の旗
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藤沢周平 短編作品
発表年 | 発表誌 |
昭和 48 (1973) 年 | 別冊小説新潮 |
著者名 | 作品名 |
藤沢周平 | 逆軍の旗 |
時 と 所
江戸時代 亀山城下 ほか
主な人物
- 惟任日向守 光秀(これとうひゅうがのかみ) 「お前には見せたことがないが、その頃わしの身なりは、まるで乞食だった。 犬のように、喰わしてくれる主(あるじ)をもとめてさすらったのだ。 特技といえるのは鉄砲だけだ。 そんなものは、いまは珍しくもないな。 そこから、ここまで引き上げてもらった。 もとは一介の鉄砲射ちが、だ。 どう仕打ちされようと、不足は言えん」
Memo
「右府殿を討つぞ、弥平次」
「それはなりますまい」
咄嗟に秀満は言った。 部屋の空気を裂いた自分の声に愕(おどろ)いて、秀満は素早く立つと板敷きを横切り、杉戸を開いて外を確かめた。 廊下は黄昏(たそがれ)のように薄暗かったが、人の気配はなかった。
円座に戻ると、俯いていた光秀が顔を挙げて微笑した。 頬は紅味(あかみ)をとり戻している。
「年来とかくの風聞があることは、承知しておりまする。 とくに甲州陣以後は、殿のご様子も以前とは様変わったところがあり、ひそかに気遣っても居り申した。 殿が一切打ち明けなさらぬから、詳しいことは勿論存じ上げないが、しかし一旦の憤りのために、一族が亡ぶような企てには、加担は出来ませんぞ」
「叛かなくとも滅びるな」
光秀は言った。 静かな声音(こわね)に含まれている確信が、秀満をもう一度愕かした。 眼を瞠(みは)って秀満は問い返した。
「そこまで行ってござりますか」
「そうだ」
『逆軍の旗』文中より
収録本
出版社 | ISBN |
文藝春秋 文春文庫 | 978-4167192112 |
タイトル |
藤沢周平 『逆軍の旗』 文庫本 | 収録作品 |
逆軍の旗 上意改まる 二人の失踪人 幻にあらず |
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逆軍の旗 (文春文庫)
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出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163628400 |
タイトル |
藤沢周平短篇傑作選 4 『又蔵の火』 単行本 | 収録作品 |
又蔵の火 逆軍の旗 二人の失踪人 上意改まる 幻にあらず 長門守の陰謀 試行のたのしみ(エッセー) |
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又蔵の火 (藤沢周平短篇傑作選 4)
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出版社 | ISBN |
文藝春秋 | 978-4163642604 |
タイトル |
藤沢周平全集 第六巻 単行本 | 収録作品 |
玄鳥 三月の鮠(はや) 闇討ち 浦島 鷦鷯(みそさざい) 又蔵(またぞう)の火 逆軍の旗 相模守は無害 二人の失踪人 上意改まる 幻にあらず 長門守の陰謀 振子の城 二天(にてん)の窟(あなぐら) 死闘 夜明けの月影 師弟剣 飛ぶ猿 |
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藤沢周平全集 第六巻
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